【全訳】Amanda Gorman 「The Hill We Climb(私たちが登る丘)」

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22歳の詩人、Amanda Gormanさんが大統領就任式で朗読した「The Hill We Climb(私たちが登る丘)」の日本語全訳です。

 私たちは朝になると自問する。
 「この果てしない暗がりのどこに光を見つけられるのか」
 抱えなくてはならない喪失、
 掻き分け進まなくてはならない海、
 私たちは獣の腹に果敢に挑んだ。
 静けさは必ずしも平和ではないと学んだ。
 「そういうものだから(ジャスト・イズ)」という規範や考えは、
 必ずしも「正義(ジャスティス)」ではないことも学んだ。
 それでもなお夜明けは気づく前から訪れていた。
 私たちはなんとかやってのける。
 なんとか耐え抜いて、壊れていない国を目にした。
 壊れているのではなく、単に未完成の国を。
  
 私たちはこの国と時代の継承者だ。
 奴隷の子孫でシングルマザーに育てられた、
 やせっぽちの黒人の少女が大統領になりたいと夢見られる。
 そして気づいたら大統領のために詩を朗読していた。
 そんな国と時代の。
  
 そう、確かに私たちは決して洗練されていない。
 決して清らかでもない。
 かと言って完璧な連合を目指していないわけではない。
 私たちは目的を抱き連合を鍛え上げようとしている。
 人間のあらゆる文化や色、性質や状態を重視する。
 そんな国を作るため。
  
 自分たちの間に立ちはだかるものではなく、
 目の前にあるものを見上げれば、亀裂は閉じられる。
 私たちには分かっているのだ。
 将来を第一にするには、まず互いの違いを脇へやらねばならないと。
 互いに手(arms)を伸ばす前に、まずは武器(arms)を下ろさねばならないと。
 誰も傷つけず全員の調和を求めていると。
 何はなくとも世界にこれだけは真実だと言ってもらおう。
 悲嘆にくれながらも私たちは成長したと。
 傷つきながらも望みを抱いたと。
 くたびれても取り組んだと。
 そして私たちは勝利の中で永遠に結びついているのだと。
 それは私たちが二度と敗れないからではなく、
 二度と分断の種をまかないからだ。
  
 聖書はこう言う。
 誰もがそれぞれ自分のブドウとイチジクの木の下に座り、
 誰も恐れたりしない、そんな光景を思い浮かべよと。
 今のこの時代にかなった生き方をするならば、
 勝利とは刃物で得るのではなく、橋を築いて得るものだ。
 それこそが、勇気さえあれば私たちが登る丘を拓こうという約束だ。
  
 アメリカ人だということ、それは誇りを相続するだけではない。
 過去に足を踏み入れ、いかに修復するかだ。
 この国を分け合うよりも粉々にしてしまおうという勢力があった。
 民主主義を遅らせるためなら、この国を破壊しても良いと。
 その活動はほとんど成功しかけた。
 しかし、たとえ民主主義が断続的に遅れることがあっても、
 敗北してそれきりになるなど決してありえない。
 この真実、この信念を私たちは信じる。
 なぜなら私たちが未来を見ている間、歴史は私たちを見つめているのだ。
 今は正しい贖(あがな)いが求められる時代だ。
 始まった当初は恐ろしかった。
 これほど恐ろしい時を引き継ぐなど自分たちにできるとは思わなかった。
 しかし、やがて自分たちの中に新章の書き手になる力を見出した。
 自分たちに希望と笑いを与える力を見出した。
 だから、かつては「どうやって破局を克服などできるのか」と思ったものだが、
 今では「破局が自分たちに勝てるわけなどない」と主張している。
 私たちは以前の状態に戻らず、次になるべき状態へと進む。
 傷つきはしても欠けていない国へ。
 善良ながらも大胆で激しく自由な国へ。
 たとえ威圧されても私たちは後ろを向かない、妨げられない。
 自分が犠牲せず惰性に陥れば、それが次世代に受け継がれると知っているから。
 自分たちの失敗が次世代の負担になるから。
 けれども1つ確かなことがある。
 力と慈悲を融合させ、力と正義を融合させれば、
 私たちは次世代に愛を残せるようになり、
 自分の子どもたちが生まれながらに持つ権利を変えられる。
 なので与えられた国よりも良い国を残そう。
  
 銅を叩きつけられた私の胸が1つ呼吸するごとに
 私たちはこの傷ついた世界を素晴らしいものに引き上げる。
 私たちは黄金の木々の西の丘から立ち上がり、
 風吹きすさぶ北東、私たちの先祖が最初に革命を実現した場所からも立ち上がる。
 湖が縁取る中西部州の街からも立ち上がる。
 陽に焼かれた南部からも立ち上がる。
 再び築き和解し回復する。
 この国のありとあらゆる片隅で、
 多様で美しい私たちは痛めつけられても美しく浮上する。
 朝が来れば私たちは暗がりから出る。
 炎となって恐れず、新しい夜明けは私たちに解放されて花開く。
 「光は常にそこにあるのだ」
 光を見るための勇気が私たちにありさえすれば。
 光になるための勇気が私たちにありさえすれば。 

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